
彩の無い天使
「彼女たちの未来は輝いている。私はそれを守りたい」 家族の愛を感じられないまま、人の『顔色』をうかがって毎日を過ごしてきた私。 胸のうちに秘めた計画を、いよいよ実行する時がきた。 これは彼女たちの未来を守るための、輝く未来への第一歩・・・ 現代における社会問題、教師による性犯罪を取り上げた17歳の鮮烈な色彩の物語。 2人の3つ目の秘密とは?「読書感想文」
女性の多くが「武装」していることをご存知でしょうか。もちろん、それぞれの目的に即した装いをするのは当たり前。
誰が見ても一見、女性ならではの装い。
それが実は「武装」だと気づいている人はどれくらいいることでしょう。
この小説に出てくる10代なかばの少女アヤは、既に武装しています。
ロリータ風のヘアスタイルやファッションで。
女性らしいありのままの姿では、男性たちから露骨に性的ターゲットとして手をかけられてしまう。
そのような男性たちが好まないのが、ロリータファッション。
それに気づいたアヤは髪をツインテールに結び、リボンをつけて武装しているのです。
前半では、アヤの思春期を迎えた少女特有の想いをひた隠すようなところが多くあり、 もっとしたたかに生きてほしいと祈るように思っていました。
後半に差しかかった辺りから、少ししたたかになったので安心したのですが、 それでも不器用な感じはなかなか改善せず、 そこがまたリアルな感じがしてヤングアダルト小説のヒロインとして確立されていたような気がします。
題名に彩の無いとあるのですが、出来れば文章にもう少しハッとするような擬態語や擬人語があれば、 さらに魅力的な作品になったのではないかなあと思いました。
以前、noteにも書きましたが、かつて若かった頃の私は早くおばさんになりたかった。
性の標的であることから早く降りたかったから。
それほど、若い女性として生きる事は困難なのです。
この小説を読みながら、若い頃の想いを僅かですがなぞっているような気がしました。
キラキラと歩く若い女性たちの心や身体を大切に出来る社会であってほしいと願ってやみません。
December 27, 2021 (令和3年12月27日)