生きていくために必要なスキル



子どもたちの夏休み・・・例年のことなのですが、自分の時間がありません。 (お昼ご飯なに?攻撃がツラい・・・給食のありがたみをかみしめる毎日です)

作りたい欲求はひとまず押さえこみ、そのぶん夏休み明けにドッと溢れてくるはずだと期待して我慢。 創作活動のことはまるっと忘れて、子どもたちと全力で毎日を過ごしています。

そしてそろそろ夏休み終盤。
今年の活動を振り返り、ここに書き記しておくことにしました。


子どもたちと過ごす休暇

私は毎年夏休みになると、息子たちに授業(みたいなこと)をします。 今年は暑さが尋常ではなかったので、室内での活動ばかりになってしまいましたが・・・ こんな感じでした。

手縫いで巾着作り、お題にそって四コマ漫画、作文用紙を使ってショートショート。 一緒になって川柳もしました。 料理はもっと教えるはずだったのに、振り返ってみると回数は少なめでした。 残りの期間で色々作りたいところです。

youtobeで各国の様子を見て意見を言い合ったりなどもしました。 次男と三男はオンライン英会話を習っているので、先生の国のことを調べて質問したり。 ディベートに近いものもやってみました。

youtobeには結構お世話になって、動画を見てからネットリテラシーについて話し合いました。 私は詳しいほうだという自負があり、自分の言葉で教える気満々でしたが、 文部科学省のクイズ形式の動画がよくできていたので利用させてもらいました。 私の言葉よりも届いたように思います。 子どもにはやっぱり、映像から伝わる情報が強いなと痛感しました。

授業ではありませんが、家族揃ってモンスターハンターが好きなのでゲームも結構やりました。 年齢制限を守っていないので大きな声では言えませんが、次男と三男もこの夏にモンハンデビュー。 鈍器みたいな攻略本ももちろん買いましたよ。

何日もやりこんだあとにゲームやテレビに触れない日を作ったら、 やりたいことがどんどん出てきてそれはそれで楽しくて 「さすがにやり過ぎだったよね」なんて笑い合ったのも、ある意味では勉強だったかもしれません。

攻略本はゲーム好きなお子さんがいる方にぜひオススメしたいです。 ゲームソフトを買ったら、攻略本をセットでプレゼントしてあげてほしいです。(私はファミ通のが好きです) 長男はそれで教科書を読み解く力が身につきました。 物語は好きだけど図鑑を好まない子でして、 だからというのもありますが、読み解く力がついたのは攻略本の効果が大きいです。

長い休暇の過ごし方

私が長い休暇の過ごし方を真剣に考えるようになったのは、コロナ禍からです。

あのとき、長男は中学二年生でした。 応援のない静かな大会。なくなった体育祭。不安ななかでの受験。 一番、打撃を受けた世代といっても過言ではない・・・と思います。

大切な時期に、空白の時間ができてしまうことをなんとかプラスにしたい。 そこで私はこの期間に、長男にタイピングを教えました。タイピングを選んだ理由は単純です。 私は、生きていくことに直接つながるスキルをあまり持っていません。 唯一タイピングは私が思うなかで汎用性の高いスキル・・・ 生きていくことに結びつくスキルだったからです。

そこに長男の意思はなく、ほぼ強制でした。 でも、少しの強引さが必要なくらい、誰かが指針を示す必要があるとあの時は判断しました。

一年後、長男は情報系の高校へ進学、同時に小説を書きはじめました。 今、とある投稿サイトで出版申請ができる段階らしいです。←見せてはくれません。

どちらもタイピングが切っ掛けになったわけではありませんが、役には立てました。 私にとって・・・おそらく長男にとっても成功体験となり、それ以降毎年、夏休みには息子たちに授業モドキを行うようになったのです。

教えることに抵抗があった

私自身はというと、夏休みの宿題ですら、最終日にやったりやらなかったりの子でした。 だから宿題の他に母の授業も受けるなど、よくがんばれるなぁと感心して息子たちを見ています。 母を反面教師にして取り組んでくれているのでしょうかね。

そうなのです。私は自他共に認める劣等生でした。 学校そのものが苦手だったこともあり、人に教わって習得したものがとても少ないです。 そのため他の人とは違っていたり、ひどく遠回りをして同じ答え(もしくは若干違う答え)に辿り着いています。

その行程はいつも私にとって最良ですが、大多数の人にはそうじゃない。 だから自分の技術や知識を誰かに伝えることはできても、教えるのには抵抗がありました。 タイピングだって指の置き方が自己流なので、長男に教える時は苦労しましたし。

だけど今は、すべての人にとって正しい行程などないのかもと、前向きに捉えることにしています。 そう思えるようになったのはタイピングの成功体験もありますが、 昨今のエンターテイメントの生まれ方が常に更新状態にあるのも大きいです。

「これでもいいんだ」を教えることは、私にもできるはずだと。

価値がないと思っていることでも

得意分野を子どもに教えるのに抵抗がある、ということで思い出したのですが、 我が子の名前を考える時、親は自分に無いものを取り入れる傾向があると聞いたことがあります。

私も世の保護者さんと同様、子どもの名前に素敵な字を贈りましたから認めたくない話ではあります。 でも一理あるなと思いました。

習い事なんかも自分が不得意なものを子どもに習ってほしいと思ってしまうの、ありますよね。 こちらも私は例に漏れず、息子たちに(自分はできもしない)英会話を習わせています。

ところが私の知り合いは、英語を話せるのに子どもに教えたりしていません。 日常会話に取り入れているということなのかなと思いましたが、 ずっと日本に住んでいるので、お子さんたちはペラペラ話せるというわけではないそうです。

なぜ教えないの!?と思ったのですが、 それを自分の得意分野に置き換えるとよく理解できたのです。

以前の私は、子どもたちと絵を描くということをほとんどしませんでした。 それだけでなく、読み聞かせに至ってはほぼほぼしたことがありません。 それは上に書いた理由・・・私のやり方が独特だからというのもありますが、 「苦労する道を選んでほしくない」というのもあります。

それから「教えられてするものじゃない」みたいな気持ちもあります。 たいしたことではないのだから、やりたくなればできるだろうみたいな。 実際のところ、教えなくても私の子どもたちは絵や文章、ついでに歌も好きです。

じゃあ教えなくていいじゃん、というところに戻ってきてしまうのですが・・・ それでも長期休暇のたびに教えることを続けているのは、早い話がもったいないと思うのです。 本来、習い事にはお金や安全面など色々なハードルがあるのに、 家でできることを避けるのはもったいない。

自分では価値がないと思っていることも、他の人から見たらそうじゃないかもしれない。 もし私が人に良い印象を与える話し方ができるのなら、絶対子どもに教えたい。 人を笑わせるコツを知っているのなら、それも絶対に教えたい。 でもそれができる人たちって、自分のその特技をすごいことだとは思っていない気がします。 まあこれこそ、教えなくても親を見て身につけているスキルなのかもしれませんが。

おわりに

最後に、得意分野を子どもに教えるのを躊躇するもうひとつの理由はこれではないでしょうか。

「その道で生きていくことを限定してしまうかもしれない」ということ。 親なので質問し放題ですし、辞めてもいつでも再開できますし。 メリットではありますが、デメリットでもあります。 他に興味があったとしても、ラクだからという理由でその道を選んでしまうかもしれません。 とくにエンターテイメントに関わる仕事は、子どもからしたら華やかで楽しそうに見えることでしょう。

だけど、プログラミングを覚えたらプログラマーになるとは限らないように、 習得したスキル=職業と決まっているわけではないんですよね。 たとえその職業に就いたとしても、 ひとつのスキルだけで生きているわけではない。 ごくわずかだと思われがちな「芸術で生きている人」ですら。

そう思うのは、自分自身の経験からです。 私はデザイナーの名刺を持ってポスターや広告を作りつつ、 社内名簿の管理をして、飲み会の企画までしていたことがありました。 一般事務で入社して電話を取りつつ、WEBサイトを作っていたこともあります。

会社という組織の中ではめずらしいことではないですが、 断れない性格が拍車をかけていたので辛いことも多かったです。 だけどその反面、それぞれの役割への理解が深まり仕事の効率は上がりました。 それに今となっては、色々経験させてもらってアウトプット方法をたくさん身につけたことは私の強みです。

最近話題になっている「底辺の仕事」という言葉がありますが、 それが外部からのものであれば偏った視点だと思います。 その仕事の一端でも知る機会があれば、そんな言葉は出てこないはず。 自分の知識や経験を積み重ねながら働いているのはみんな同じなんだとわかるから。

広い視野を持って接していれば、 もしかしたら将来子どもたちが、自作のPOPを持って整備する警備員さんとか、 自作の絵本を読み聞かせする保育士さんになって、世の中を良い方向へ導くかもしれない。

手段は多いほうがいいから、私は今後も持っているものを子どもたちに伝えていきたいです。 子どもたちが望んでくれる限りは・・・なんて偉そうなことを言っても、 一番のモチベーションは学習面で役に立てない罪悪感なのでしょうけれど。

皆さま、子育てや家のこと、お仕事に勉強、おつかれさまです。 私もそろそろ通常の毎日に戻ります。 来月から創作意欲が溢れる予定なので、きっと次回はあとがきで

2023/8/24 南口綾瀬

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