赤い麦わら帽子



このタイトルでピンと来た人はお仲間ですね。
まつもと泉先生の「きまぐれオレンジ☆ロード」のキーアイテムです。

先生は私の一番好きなクリエイターで、オレンジロードはデザインの道へ進む切っ掛けになった作品です。

出会いは小学生の頃。 少女漫画も読みますが、どちらかというと少年誌の方が好きだった私が毎週買っていた、 少年ジャンプで連載していたからです。

私が読み始めたのは連載の後半でしたので、そこから少しずつ単行本を買い集めました。 お金がかかりますから、未読の話を残したまま、先に雑誌で最終回を読んでしまっていましたね。

オレンジロードは超能力一家のお話なのですが、紛れもなく「恋愛もの」であり、 ちょっときわどい展開もある大人向けの漫画です。 少年誌でこの手の内容はめずらしく、今では到底無理かな…と思います。 「三角関係」「優柔不断」という言葉はこの漫画で知りました。

一番の魅力はヒロインの鮎川まどかがとにかくカッコいいところ! まどかちゃんのようになりたかった。

コミカルでありながらドキドキな展開も相まって、毎週密かな楽しみでした。 一番始めに読むのは聖闘士星矢でしたけどね。

ドラゴンボール全盛期のジャンプを買っていた当時の少年たちにとって「オレンジロードが好き」と言うのは恥ずかしく、 でもじつは毎回見ちゃってるというのはあるあるですよね?
私は女性だからか、大人になってからはわりとあっけらかんと好きを公言していました。

デザイン関係の面接ではたいてい「尊敬するクリエイターは?」といったことを聞かれます。 私は毎回「オレンジロードのまつもと泉先生です」と答えていました。
「画家ではいないの?」「イラストレーターでは?」と聞かれても、 私は「いません。漫画家のまつもと泉先生が好きです」と答えました。

何を勘違いしたのかセクハラ発言をされることもありましたが、 そこはまどかちゃんとひかるちゃんマインドで切り返して乗り切りました。 すると何故か盛り上がることの方が多かったです。

まつもと泉先生の描く物語の背景にはロックがあります。 先生自身がミュージシャンを目指して上京、のちに漫画家となった人だからでしょうか。 三角関係などとドロドロしそうな物語が、不思議なことに軽快でカッコ良いのです。

思えば創作活動に関して、私は先生から多大な影響を受けているようです。 だからこそ本当に悲しいです。 いつか先生にお会いできたらなどと、おこがましくも私はそれをコッソリ目標にしていたので。

この記事に気付いた方はすでにご存じかもしれませんが、 まつもと泉先生は2020年の10月6日、長い闘病の末に亡くなられました。

ご病気のことは知っていたので、私はずっとネットで先生の情報をチェックしていました。 新連載は叶わないとわかっていても、もう一度読みたいと復帰を待ち望んでいたファンの一人として残念でなりません。

先生は電子書籍をいち早く取り入れた先駆者でもあります。 もしご健在だったら、きっと今も先を見据えた新たな活動をされていたことでしょう。

今でも更新されるのではとたまに見に行っています。

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2021/8/15 南口綾瀬

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